巻頭インタビュー
緊急企画◎新型コロナウイルスの衝撃
感染症が問う人類史的課題-パンデミックにどう立ち向かうか
尾身茂(厚生労働省)
海外向け政策論調発信ウェブ誌「Discuss Japan – Japan Foreign Policy Forum」に英訳・中国語訳が掲載されました。(6月16日)
英語訳
中国語訳
習近平主席訪日延期-日中の基本原則を捉え直す機会に
新型コロナウイルスの感染拡大で、 習近平国家主席の訪日は延期になった。
次の訪日機会に向けて、北東アジア全体の 国際秩序に貢献できるような 日中協力のあり方を考えたい。
高原明生(東京大学)
中国・新型コロナウイルス-感染症拡大の経済的影響
新型コロナウイルスは、春節休暇の移動で蔓延、 二〇〇二年のSARSとは桁違いの広がりを見せた。 生産活動の停止は中国の景気失速や 世界のサプライチェーンに影響している。 経済指標からその深刻度を読み、対応を考える。
齋藤尚登(大和総研)
特集◎中東は戦争を回避できるか
エスカレーションから一転 「奇妙な安定」へ-分極化する国家、世代交代、環境制約から読み解く
昨年を通して高まった米・イランの緊張と代理戦争の進行、 今年一月の直接戦争の危機を経て、中東はどのような 「安定」に達したのか。そこに「秩序」はあるのか。 著者独自の視角から読み解いた、二〇二〇年の中東論。
池内 恵(東京大学)
座談会
「イランの脅威」を増幅するアラブ諸国の脆弱性
米・イラン対立が激しさを増し、 中東の国際秩序は大きな転機を迎えている。 米国の対中東戦略、イラン経済の先行き、 アラブ諸国の抱える課題などを踏まえ、 三人の専門家が俯瞰的に情勢を読み解く。
田中浩一郎(慶應義塾大学)
宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所)
村上拓哉(中東調査会)
資料
・中東を知るための基本情報
・現在の中東における紛争と政治対立
中東における 「ロシア流」アプローチ
ロシアはなぜアサド政権を支援し連携するのか。
「生き残り戦略」の行動原理と 限定的な軍事力行使を融通無碍に組み合わせ、 中東での独特な存在感を生み出した。
山添博史(防衛研究所)
翻弄されるイラク-イラク戦争後の展開とイランとの微妙な関係
イラク戦争後の「宗派・民族のポスト配分」が 汚職や腐敗を招き、国力全体の停滞を生んだイラク。 ISとの闘いののち、政治改革を求めた動きは、 クドゥス部隊司令官の米軍による殺害後抑え込まれ、 国内の不満が火を噴くリスクが高まっている。
酒井啓子(千葉大学)
Q&A 日本と中東-「石油後」を見据えた外交戦略
日本にとって中東は、安定的なエネルギーの輸入元として 死活的に重要な地域だ。そして中東の安定のために、 現在は石油の売買だけでなく、多角的な協力関係を進めている。 その実態を、中東湾岸諸国情勢に詳しい保坂氏が読み解く。
保坂修司(日本エネルギー経済研究所)
中東レポート1 アフガニスタン
米タリバン和平も平和の展望見えず
大統領選で現職ガニー氏再選の発表後も 混乱続くアフガン政局。
米タリバンの歴史的な和平協定が結ばれてもなお、 危機の構図は続いている。
登利谷正人(上智大学)
中東レポート2 イスラエル
三度目の総選挙、連立政権はまたも不調か
トランプ政権の新中東和平案でリクードが伸長するも 「青と白」はネタニヤフ追い落としにかかる。
はたして四度目の選挙は回避できるか。
江﨑智絵(防衛大学校)
中東レポート3 カタール
サウジなどによる断交・経済封鎖から三年-国力回復で独自外交に回帰
二〇一七年六月、周辺の湾岸諸国などから突如断交されたカタール。 経済封鎖を受け苦境に陥ったかと思えば、さにあらず。
カタール「復権」の真相を読む。
堀拔功二(日本エネルギー経済研究所)
中東レポート4 エジプト
評価定まらぬムバラク元大統領の功罪
三〇年間エジプトに君臨したムバラク元大統領。 シナイ半島を奪還し経済建設を果たしたが、 エジプト革命の顛末が、評価に影を落としている。
鈴木恵美(福岡女子大学)
中東レポート5 リビア
各国の介入で分裂が続く
国民合意政府(GNA)は脆弱であり、 軍事組織「リビア国民軍」が国家統一をはばむ。
国際社会の関与もバラバラで、混乱に輪をかけている。
小林 周(日本エネルギー経済研究所)
スーパーチューズデー 民主党支持者の審判
サンダース候補有利の予測を覆して大勝した バイデン候補。支持を獲得するに至るまでは、 民主党支持者の、候補者選びの「悩み」がある。 結局、「トランプに対抗できるか」がキーとなった。
古本陽荘(毎日新聞)
米国大統領選挙-ラストベルトはいま
トランプ大統領誕生の原動力「ラストベルト」。 足元の経済は好転しないがトランプ支持は根強い。 民主党候補に穏健派バイデンを求める声が強いが、 虚実ない交ぜの中傷に「中庸」バイデンは耐えられるか。
金成隆一(朝日新聞)
日本司法、国際化への挑戦-国際紛争解決のインフラ整備に参画せよ
上川陽子(衆議院議員)
反逃亡犯条例運動と香港社会-連帯と分断の諸相
世界の注目が新型コロナウイルスに集まる陰で、 「逃亡犯条例」改正に反対する 香港市民の活動は、実は継続している。 運動で生じた香港市民の「分断」と「連帯」―。 一見矛盾する状況を歴史的に解き明かす。
倉田明子(東京外国語大学)
対韓国輸出管理強化と自由貿易体制-日韓の対応から振り返る
昨年一一月、韓国はGSOMIAの破棄を延期し、 日本をWTOに提訴することの中止を決定した。 輸出管理強化は韓国にどんな影響をもたらしたか。 時系列で両国の対応の経緯を整理し、 二国間関係が自由貿易体制に与える影響も考える。
中島朋義(環日本海経済研究所)
FOCUS◎BREXIT後の欧州
再定義される欧州-二〇二〇年代のEU像
ひとまず二〇一〇年代の危機を脱したEU。だが、ポピュリズムの伸長や米欧間の摩擦などを前に、 欧州統合の原動力たる独仏の歩調が乱れている。 はたして、二〇二〇年代にEUはどこに向かうのか。
遠藤 乾(北海道大学)
駆動する「連結性」の外交戦略-モザイク化する欧州へのアプローチ
戦後日本が拠って立つリベラルな国際秩序が、 いま世界で挑戦を受けている。この流れに抗するために、 価値を共有する日欧は何ができるか。 外務省欧州局長に本誌編集長がその戦略を問う。
正木 靖(外務省)
欧州のインド太平洋戦略-大国間競争時代のEU
ロシアの脅威、中国への懸念。そして中東危機。 さらに移民問題再燃の可能性、米国との関係の動揺など 目まぐるしい大国間競争時代に欧州の戦略が問われる。 EUの「連結性戦略」とは何なのか。 また、日本など非EU諸国との連携の可能性はどうか。
鶴岡路人(慶應義塾大学)
プーチンの目指す「国家主権の確立」
二〇二四年に迫ったロシア大統領選挙。 電撃発表された首相交代と改憲の提唱に 隠されたプーチン大統領の意図とは? 提出されたばかりの改憲草案に焦点を当て、 その意図と影響を読み解く。
駒木明義(朝日新聞)
連載
数字が語る世界経済23
伊藤信悟(国際経済研究所)
キャリアの話を聞こう16
松原実穂子(NTT)
訳者に聞く
笠井亮平(岐阜女子大学)
ブックレビュー
宮下雄一郎(法政大学)