Vol.78 Mar./Apr. 2023

Vol78_Hyoshi総理大臣メッセージ
G7広島サミット 「法の支配」に基づく国際秩序を守り抜く
岸田文雄(内閣総理大臣)

特集◎広島サミット 問われるG7

座談会
「西側の結束」を超えて-G7広島サミットにおける価値の「再生と共有」
兼原信克(同志社大学)
菅野幹雄(日本経済新聞)
田所昌幸(国際大学)

駐日ウクライナ大使に聞く
ウクライナとG7の連帯を示すとき
セルギー・コルスンスキー(駐日ウクライナ大使)

ヨーロッパから見たインド太平洋戦略の深化と日欧協力
経済中心から、国際秩序を共に担う同志国へ、日欧関係は性格を大きく変えつつある。近年の関係強化の実績を踏まえ、ヨーロッパの視点から現在の国際情勢とG7サミットの意義を考える。
エバ・ペイショバ(ブリュッセル自由大学)

核をめぐる抑止と軍縮をどう考えるか
ウクライナ侵攻でいっそう深まった、核軍縮と核抑止の緊張関係。核大国間の核軍縮条約さえ失われつつある世界で今後の核抑止と核軍縮のあり方をどう考えるべきか。現状維持勢力側としては核軍縮と核抑止をゼロサムで捉えず、今こそ核兵器・核抑止が必要ない世界に向けて取り組むべきだ。
西田充(長崎大学)

逆回転するグローバル経済-世界経済の課題とG7
世界的インフレやウクライナ侵攻のダメージを抑えて、先進国経済は予想よりも底堅く推移している。だが、利下げ先送りは新興国経済にダメージを与え、グローバル経済のブロック化・「断片化」も起きている。「開かれた国際秩序」の再構築はできるか。
伊藤さゆり(ニッセイ基礎研究所)

激動の国際エネルギー情勢とG7サミットの課題
ウクライナ侵略によるエネルギー価格の高騰により、エネルギー安全保障が各国の喫緊の課題となった。「脱ロシア」のエネルギーミックスをどうするか、脱CO2をいかに実現させるか。G7サミットの役割と課題を探る。
小山堅(日本エネルギー経済研究所)

インド「グローバル・サウス」外交の展開
インド外交の新たな軸として注目されるグローバル・サウス。その背景にある情勢認識と戦略を解きながら、日印(G7とG20)連携の可能性を探る。鍵となるのは、インド太平洋における信頼醸成を高めつつ、グローバルな領域でも具体的協力を積み重ねることだ。
溜和敏(中京大学)

食糧問題をめぐるグローバル・ガバナンスとG7-中東・アフリカからの視点を
気候や政治不安に加え、ロシアの黒海封鎖で中東・アフリカ地域の食糧不安が改めて浮き彫りに。食糧問題は主要国際会議のアジェンダに必ず入り、多くの国際会議やさまざまな国際協力が行われている。G7、そして日本の負うべき責任は。
井堂有子(日本国際問題研究所)

駐日大使は語る7
インド太平洋へ外交シフト G7で連携深まる日本・カナダ関係
イアン・マッケイ(駐日カナダ大使)

日加関係「新しい章」への進化-高まる地政学的戦略性
カナダが打ち出したインド太平洋戦略は日本の国家安全保障戦略と親和性が高い。また黒鉛やリチウムなどの重要鉱物、さらにLNGなどエネルギー分野における積極的な開発戦略は、カナダの地政学的な重要性を高めている。日加関係の新たな可能性を、駐カナダ大使が読み解く。
山野内勘二(駐カナダ大使)

◎トレンド2023

中国・進む集権化とどう向き合うか-3月の全人代・そして「人民日報」の写真から
昨秋の共産党大会で改革開放路線からの転機を宣言した習近平指導部は、国内外の新しい課題を克服するために経済発展と国家安全をセットで打ち出した。「政策実施のギャップ」がもたらす問題を克服するために習総書記個人と党の権威性をさらに高めようとしている。
加茂具樹(慶應義塾大学)

現地報告
トルコ・シリア地震 なぜ被害は拡大したか
至るところで倒壊した住宅、家族を捜す人々の叫び。被災地域があまりにも広く、救助は行き届かない。「援助の空白地」シリアの状況はどうなのか。五月の選挙でエルドアン政権は正念場を迎える。トルコ・シリアの政情に地震はどう影響するか。
三木幸治(毎日新聞)

最右派政権発足で行き詰まるイスラエルの対外政策
極右政党が参加するネタニヤフ連立政権が成立したイスラエル。「極右連合」の二人の閣僚が進める対パレスチナ強硬路線に国内のみならず、米国やアラブ諸国は懸念を強める。複雑化するイランの脅威への対応を含め、政権の対外政策の舵取りはより難しくなっている。
辻田俊哉(関西外国語大学)

サウジ・イラン関係正常化の背景
-サウジアラビアの決断を促した対イラン脅威認識の高まり
3月10日、サウジアラビアとイランが関係正常化に合意した。サウジの決断には、対イラン脅威認識の高まりを基底としながら、イエメン情勢、核開発、イスラエルとの関係、アメリカの関与縮小などが複雑に絡み合っている。今後の調整次第では、仲介者・中国もその本領を問われそうだ。
近藤重人(日本エネルギー経済研究所中東研究センター)

盛り返すラテンアメリカ左派政権-ポスト新自由主義の多様な動き
2010年代、右派政権が多数を占めた南米で、いま左派政権の樹立が相次いでいる。その原因は格差拡大なのか、それとも分極化か?多様な社会・経済的背景から「左派政権像」を描くと、「新自由主義後の社会」の、調整の動きとして見える。
村上勇介(京都大学)

※78号「盛り返すラテンアメリカ左派政権-ポスト新自由主義の多様な動き」(村上勇介)に編集部の校正ミスがありました。
 修正版をこちらに上げておりますのでご参照ください。

独・ショルツ首相
レオパルド2戦車供与をめぐる苦悩
ショルツ首相にとって、対ロシア関係の配慮と、自党内左派との調整にも苦しんだ戦車供与。NATO加盟国に多数配備されたレオパルド2が拡散することによる歴史的・技術情報的問題は、今後、日本の防衛装備品海外移転でも問題となろう。
伊藤嘉彦(拓殖大学)

FOCUS◎冷戦終結 危機と矛盾の30年

「危機の三〇年」における国際秩序の変遷
冷戦終結後は自由主義的な国際秩序が世界を抱擁する-あの時の期待ははかなく潰えた。なぜ機能しなくなったのか。その挫折の経験から、次代への教訓を読み解く。
細谷雄一(慶應義塾大学)

冷戦後アメリカ外交の過信と無気力-対テロへの執着から消極的関与へ
1990年代、旧共産圏諸国の民主化に関与し、国内では空前の好景気に沸いたアメリカ。高揚する「自由の帝国」は、しかしその後、果てしないテロとの戦いに国力を注ぐ一方、地政学的パワーとして台頭する中ロに有効に対処できなかった。
島村直幸(杏林大学)

ドイツ外交「ポスト冷戦」時代の終焉か
ウクライナ侵攻に対する安全保障政策の大転換、ドイツの「ポスト冷戦」の世界観は砕かれた。ナチの過去を克服しつつ西側につなぎ止められ、一方で東方に融和的な独自の政策を展開してきた「嫌々ながらの覇権国」はどこへ向かうか。
板橋拓己(東京大学)

「冷戦後」中国の脅威認識-なぜ警察協力が非西側諸国の国際公共財になりうるのか
改革・開放政策の旗手であった鄧小平は、1989年の民主化要求デモを「陰謀」と断じていた。中国の「脅威」は国内にあったのだ。習近平の警察国家的執政も「脅威への対応」で一貫する。西側社会(G7)が非西側諸国が抱く「冷遇」感に思いを致さなければ、国際秩序の再建は困難だ。
益尾知佐子(九州大学)

「失われた三〇年」の中の日本-自由で開かれた国際秩序を模索して
世界経済2位の日本が、世界に平和をもたらす―。そんな楽観的な見通しは湾岸戦争の現実の前に消え、日本は「失われた30年」の間、自己像を捜し続けた。主体的に働きかける外交、機能する防衛力、日米同盟。「自由で開かれた国際秩序」の旗を、日本は掲げ続けられるか。
山口航(帝京大学)

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小川浩之(東京大学)

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次代の超大国インドを考える5冊
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笠井亮平(/岐阜女子大学)

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