Vol.38 Jul. 2016

38表紙巻頭インタビュー                                  English
スポーツはグローバリズムそのもの!
鈴木大地(スポーツ庁長官)

特集◎アフリカ開発の新潮流

アフリカ「自助」を支援する
北岡伸一(JICA理事長)
アフリカの安定と成長なくして、世界の平和と繁栄はない。しかし短期間でアフリカを成長軌道に乗せるような「魔法」もない。現地の開発に向けた努力を促し、支える地道な努力がいまこそ求められている。


TICAD VIへの期待
   ‐パートナーシップで成長の後押しを

ソロモン・K・マイナ(駐日ケニア大使)
ケニアの首都ナイロビで開催される第六回アフリカ開発会議(TICADⅥ)。開催国として、そして長い歴史を持つ日本の友好国として、TICADに望むこととは。駐日ケニア大使に聞く。

鼎談
日本外交のフロンティアに漕ぎ出す
  -TICAD VIへの期待とアフリカ外交

白戸圭一(三井物産戦略研究所)
遠藤貢(東京大学)
藤田順三(外務省)

初のアフリカ開催となった第六回アフリカ開発会議。目まぐるしく変わる政治経済情勢と、その動向を左右する国際情勢を踏まえ、日本独自の国際協力とビジネスの可能性を探る。

蚊帳の現地生産でアフリカに根ざす
西本麗(住友化学)
古典的な製品「蚊帳」が、編み方や殺虫効果の技術開発でマラリア流行を抑える切り札として生まれ変わった。現地生産により地域経済と市場を生んだ住友化学は、自ら市場のプレーヤーとなってアフリカ経済発展に貢献している。アフリカビジネスの要諦と、今後の展開の秘策は。

ガバナンスで読み解く紛争と和解
武内進一(アジア経済研究所)
紛争から和解へ、このアプローチには先んじて個別的なガバナンス分析が必須である。近年に勃発したアフリカ諸国内における紛争をめぐる一連のケーススタディを理解することは、世界情勢を取り巻く「混乱の本質」を探るうえでの一助となるのかもしれない。

アフリカをめぐる援助協調と新興ドナーの台頭
    ‐国際開発潮流の変遷とTICAD VI

高橋基樹(京都大学)
アフリカへの多様な援助主体の中で、TICADはどういう役割を果たしてきたか。過去半世紀の世界各国によるアフリカ援助を振り返り、中国など「新興ドナー」や欧州の動きをにらみ、日本がどのような援助の姿勢をとるべきかを探る。

中国とアフリカは蜜月か
    ‐貿易からみた実像

丸川知雄(東京大学社会科学研究所)
援助をきっかけに関係を深める中国とアフリカ諸国。「中国がくしゃみをしたらアフリカがカゼをひく」ほど、その関係は緊密なものになっているのだろうか?綿密な貿易の分析によって、アフリカ—中国貿易の実相を明らかにする。

母子手帳の普及すすめる夫人外交
福田貴代子(親子健康手帳普及協会顧問)
高村治子(アジア婦人友好会会長)

日本が世界に誇る母子保健ツールである母子健康手帳。政治家夫人の立場からその普及に尽力する福田氏、高村氏に話を聞いた。

Around the world

大統領選挙に見るペルー政治の変化
遅野井茂雄(筑波大学)

無力さをさらけ出した中国「民主の村」
城山英巳(時事通信社)

サウジ経済改革の狙い
近藤重人(日本エネルギー経済研究所中東研究センター)

イギリス政治家の「嘘」が語るもの
    イラク戦争「チルコット報告書」

鈴木一人(北海道大学)

TREND2016

露呈した英国政治の機能不全
池本大輔(明治学院大学)
六月国民投票の結果、イギリスはEU離脱を決断した。国民投票は、イギリス社会の分断とそれを解消できぬ民主政治の機能不全を明らかにした。今後イギリスとEUはいかなる道をたどるのか。

リベラルな国際秩序は崩壊に向かうか
細谷雄一(慶應義塾大学)
イギリスのEU離脱が決まり、アメリカではトランプ大統領候補が「アメリカ・ファースト」を叫ぶ。「リベラルな国際社会」を牽引していた2大国の内向化は、国際秩序にどんな方向性を示すのか。

国際政治の「圏域」分化とサミット外交
田中明彦(東京大学東洋文化研究所)
日本外交は、近年まれな充実期を迎え、独自のイニシアチブをとるに至っている。混迷を深めるように見える国際政治は、実は「3つの圏域」に別れている。わが国がそれにどう対応するかが次の課題だ。

プラハから広島へ オバマ演説の「続き」と向き合う
吉川元(広島市立大学平和研究所)
オバマ大統領「プラハ演説」と「広島演説」。民族自決・冷戦終結の象徴の場所と被爆地、世界にそれぞれ大反響を巻き起こした演説だが、核軍縮への意欲は減退し続けてきた。現実と理想の間を揺れるオバマの「次の手」は。

フィリピン対中国
南シナ海紛争における国際仲裁の意義

小川秀樹(千葉大学)
「島」ではなく「岩」である—中国が南シナ海に独自に設定した境界線「九段線」に法的根拠がなく、主権や管轄権が存在しないとしたハーグ・常設仲裁裁判所決定の法的効果とは?仲裁の仕組みから当事国の権利義務までを一望する。

台湾と中華民国の狭間に立つ総統
  -蔡英文政権の静かなる船出

野嶋剛(ジャーナリスト)
台湾の権力は蔡英文総統に委譲された。就任演説での外交方針のメッセージは抑制され、さらに中国の受け止め方も、比較的冷静だ。静かに間合いをとる両者。今後の展開はどうなるか。

日ロ交渉の機は熟した
下斗米伸夫(法政大学)
このところ緊密さを増す日ロ外交。北方領土交渉は、今度こそ進展を見せるのか。1956年の日ソ共同宣言から冷戦終結の経緯、そしてプーチンの政治的イニシアチブを分析、日ロ新時代の条件を探る。

21世紀の人道危機に挑む
  -「世界人道サミット」が投げかけた課題

渡部正樹(国連人道問題調整事務所)
国際社会の取り組みにもかかわらず、世界の人道危機は深刻さを増している。いま求められているのは、危機への対応のあり方を根本的に問い直し、さまざまな利害関係者が連携と関与を強めることだ。史上初の「人道サミット」が投げかけた課題と、日本の役割を問う。

緊急企画
ダッカ襲撃テロの衝撃

緊急寄稿
バングラディッシュ・ダッカ襲撃テロ事件を受けて
  -日本の国際協力の進展のために

北岡伸一(国際協力機構理事長)

ソフト・ターゲットテロ時代の防御方法
  ‐ダッカ事件が指し示す教訓

菅原 出(危機管理コンサルタント)
組織の弱体化に直面しているISILは、多国籍の人びとが集まる場所でテロを仕掛け、ダッカやニースの事件のように国際ニュースになることを狙う。日常を生きるうえで避けられないテロのリスクをどのように低減するか、自衛手段を提言。

アジアにおける「イスラム国」の浸透
    拠点化するインドネシア

本名純(立命館大学)
東南アジアのイスラム過激派は、ISに刺激されてふたたび活性化している。その中心であるインドネシアからシリアへ戦闘員が流れ、さらにテロ細胞の育成も手がけられている。SNS時代のホームグロウン・テロを展望する。

連載

ブックレビュー
板橋拓己(成蹊大学)

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