巻頭インタビュー English
「持続可能な開発目標」から世界を考える
国谷裕子(キャスター)
特集◎動き出したトランプ政権
政権を支えるキーパーソンは誰か
ケネス・ワインスタイン(ハドソン研究所)
いまだ政権は構築の途上にあるが、次第に全体像が見え始めた。
チーム・トランプの人間関係を把握し、トランプ外交の行方を展望する。
対談:日本はアジアとのパイプ役を担え
藪中三十二(立命館大学)
白石 隆(政策研究大学院大学)
飯塚 恵子(読売新聞)
首脳会談を経て、日米の外交・安全保障関係は安定化に向かいそうだ。他方、経済通商面で依然として不安が残る。
大切なことは、日本が外交感覚を研ぎ澄まし、「トランプのアメリカ」を世界とつなげていくことだろう。
資料 日米共同声明
「偉大な米国」の衰退と二つの危機
小原雅博(東京大学)
中国の台頭が米中間のパワー・バランスを変えつつある。米中関係とリベラル秩序を揺るがす危機は回避できるか。
変化と危機の中で、日本の政治と外交はどうあるべきか。
ロシアとの関係改善は部分的
小泉 悠(未来工学研究所)
トランプ大統領誕生に沸くロシア。制裁解除や勢力圏の確保が期待されたが、政権発足後の人事や政策は思いどおりにはいかない。ロシアは米国と同じ夢を見られるか。
揺らぎ始めたNATOの連帯
広瀬佳一(防衛大学校)
米欧の「取引」として成立した同盟であるNATO。加盟国間に生じているきしみは、トランプ政権中枢のいら立ちの要因でもある。米国とNATOの歴史的背景と機能を掘り下げ、今後の関係づけを問い直す。
「グローバル中国」と米中関係の再編
益尾知佐子(九州大学)
グローバリゼーションの最大の受益者、中国。自らが自由貿易の旗手となり目指す「中国の夢」と反グローバリズムの「アメリカ・ファースト」が倒錯する構図が現出した。「不確定性」の新政権と中国はいかに渡り合うのか。
サウジアラビアの対米不信はやわらぐか
福田安志(アジア経済研究所)
新政権のイスラエル政策は、シリア内戦への対処はどうなる。そしてイランに強く出てくれるのか。オバマ時代のしこりが残る対米関係を経て、サウジアラビアは、トランプの中東政策を固唾をのんで見守っている。
大統領と議会の「政略結婚」は成るか?
ロバート・トムキン(コングレッショナル・クォータリー誌)
大統領選とともに、上下両院議員選挙でも大きな勝利を収めた共和党。利害の相違を抱えた派閥はどう動くか。
大統領の補完機能として外交などを担う新しいダイナミズムも生まれている。
連邦最高裁の独立と政治への関与—司法における保守とリベラルを考える
阿川尚之(同志社大学)
同性婚、銃規制など、米国社会を二分する問題に決定的な影響を与える連邦最高裁。トランプ大統領は新判事にゴーサッチ控訴裁判事を指名し、より保守的な最高裁実現を目指すが、果たしてうまくいくだろうか。司法における保革対立の意味を読み解く。
ワシントン四千人大異動の悲喜こもごも-新たな政治の季節へ
吉野直也(日本経済新聞)
風物詩ともいえる大統領政治任用スタッフ交代。泡沫候補だったトランプ氏に賭けた面々はどのようにスタッフの座を射止めたか。その系統を探り、今後の力関係をも占う。
トランプ時代のジャクソン主義―米国の自画像と対外観の現在
森 聡(法政大学)
「トランプ的」なるものは、どれだけアメリカの普遍的価値観から離れているのか。
「ジャクソン主義」の歴史を物差しにして、今後の「トランプのアメリカ」の振れ幅を測る。
◎around the world
金正男氏暗殺で平壌は何を得たか
礒敦仁(慶應義塾大学)
「毛沢東超え」視野—後継者なき習近平時代
城山英巳(時事通信社)
◎トレンド2017
「民心」が左右する韓国の政治危機
奥薗秀樹(静岡県立大学)
史上初めて弾劾によって大統領が失職した韓国。その原動力となった「民心」の獲得を目指して、大統領選挙では、理念重視の「対立激化戦略」も目立つ。韓国社会の亀裂は、大統領選後も収まりそうにない。
「核軍縮の二面性」を超えて―核兵器の法的禁止をめぐる現状と日本外交
秋山信将(在ウィーン国際機関代表部)
道義性と安全保障。この両側面の厳しいせめぎ合いが、核軍縮の実相だ。多様なプレーヤー、理想と現実の中で、核廃絶のプロセスをどう設計できるか。核の交渉最前線ウィーンからの報告。
「最も不可能な仕事」に挑むグテーレス新国連事務総長—対米関係が最優先課題に
尾崎元(共同通信社)
透明性を高めた選出方法で期待のグテーレス新事務総長。だがトランプ政権の国連対決姿勢など、その船出は多難だ。
ラテンアメリカ地域経済統合の可能性
村上善道(神戸大学)
地域経済統合の先進地域、ラテンアメリカ。産業構造の高度化と域内外におけるバリューチェーン形成の促進が期待されてきた経済統合はいま、トランプ政権が掲げる保護貿易主義の前に揺れている。その枠組みと意義を改めて考え直す。
アジア欧州会合(ASEM)の20年と将来―「ASEMの日」に寄せて
宮川 学(外務省)
『シンガポール日本人社会百年史—星月夜の耀き』に見る両国交流の歴史
竹内春久(前駐シンガポール大使)
◎FOCUS
奮闘する国際刑事裁判所—成果のカギは国際協力の有無
尾﨑久仁子(国際刑事裁判所)
子の奪取に関するハーグ条約締結後の日本
早川眞一郎(東京大学)
国際私法の統一を目的とするハーグ条約は、国際結婚破綻の際、国境を越えての子の連れ去りの防止や面会交流のあり方を定めている。日本が締結して三年、その仕組みを確認し、条約を生かすための方策を提言する。
国際法学者が実務を経験して
浅田正彦(京都大学)
国際法の最前線は、国と国との激しいやりとりの現場。立ち位置に悩みつつもある時は法原則を枉げず、またある時は利害を調整して目的を達成する、「若き国際法学者の条約交渉」を活写。
第5回 外交論文コンテスト 入選作品発表
最優秀賞 宇野真佑子(東京大学教養学部)
連載
数字が語る世界経済
伊藤信悟(みずほ総合研究所)
キャリアの話を聞こう
吉岡桂子(朝日新聞編集委員)
Book Review
板橋拓己(成蹊大学)
新刊案内
外務省だより
Information
英文目次