Vol.45 Sep./Oct. 2017

Vol45_表紙2巻頭インタビュー                               English

軍事的猶予は長くてもあと1年
北朝鮮は弾道ミサイルの世代更新を進め、核弾頭もほぼ実用化の域にある。
米国本土も射程に入れた核ミサイル開発を受け、米国の軍事的オプションは現実味を増している。
この脅威をどのように認識するか。軍事のプロフェッショナルが読み解く。
香田 洋二(元自衛艦隊司令官 海将)

緊急企画◎北朝鮮危機の新段階

決断迫られるトランプ政権
核実験や試射を重ね、自信を深める北朝鮮。
アメリカは、トランプ大統領の「口撃」だけでなく、次のレベルの脅威には断固たる態度で臨むべきだ。中国との関係をどう作るかがポイントとなる。
              エバンス・リビア(ブルッキングス研究所)
              ジョナサン・ポラック(ブルッキングス研究所)

※本論文は、筆者がブルッキングス研究所ウェブサイトで発表した論文を元にしています。
ブルッキングス研究所に掲載されている元原稿は、こちらになります。

揃えられるか国際社会の足並み
相次ぐミサイル試射と六回目の核実験は、核攻撃能力が完成に近づいていることを示す。
国内体制の維持を続ける北朝鮮にどう対処するか、国際社会は思惑の違いもあり手詰まりだ。打開の道をいかに探るべきか。
平岩俊司(南山大学)

「戦略的利益を共有する」日韓関係の真価
米朝対立の構図の中で、日韓関係はいかなるファクターとして捉えられるのか。
文在寅政権の「ツー・トラック」戦略により、当事者として舵を効かせようとする韓国が、
日米韓のダイナミズムの海で描く軌跡はどうなる。
浅羽祐樹(新潟県立大学)

中朝「血の同盟」という幻想-大転換した中国外交
たび重なる北朝鮮の挑発行為に、中国はすでに中朝相互援助条約に縛られないというシグナルを発している。
最近の中国の対応を丁寧に読み解き、その「真意」を探っていくと、新しい観点からの対北朝鮮政策が見えてくる。
朱建栄(東洋学園大学)

特別寄稿:非核三原則は「保たず、造らず、撃ち込ませず」ではないか
加藤良三(元駐米大使)

特集:ASEAN 50年のインパクト

座談会◎日本外交の構想力が試されている
戦後日本外交にとって東南アジアの持つ意味は大きかった。
経済と安全保障において中国の影響力が高まるなか、改めて戦略的重要性にも注目が集まる。
日本の役割は、この地域の対立を抑制し、安定と繁栄のための秩序構想を示すことだ。
高田博嗣(NHK)
永井史男(大阪市立大学)
宮城大蔵(上智大学)
滝崎成樹(外務省)

「ASEAN+」が担う対立緩和のメカニズム
経済統合の進展で揺らぐ「国家主権尊重」の大原則。域外国を巻き込んだ対話システムとして機能し始めた「ASEAN+」。
中国が台頭し、「西側」発の理念が試練に直面する2010年代にふさわしい、ASEANの課題と可能性を読み解く。
大庭三枝(東京理科大学)

少子高齢化に直面するASEANの苦悩-拡大する国内格差にどう対処するか
日本よりも厳しい少子高齢化がASEAN諸国を襲う。
同時に拡大する所得格差は社会不安を高め、デジタル社会がそれを増長する。
地域の課題が経済から政治・社会へシフトする中で、日本はどのように関わるべきか。
大泉啓一郎(日本総合研究所)

ミャンマー・複雑化する「ロヒンギャ問題」の構図
アウン・サン・スー・チー政権を脅かす「ラカイン州北部問題(いわゆるロヒンギャ問題)」。
スー・チー政権と国際社会の不協和音の元をさぐり、政権安定と改革のゆくえを探る。
中西嘉宏(京都大学)

メガFTA構想の見取り図-ASEAN共同体からTPPまで
「統合の深化が外国投資を呼ぶ」違いを乗り越えて統合を深めてきたASEANはTPPに危機感を持ち、RCEPを立ち上げた。保護主義の潮流が未だ続く中、メガFTA立ち上げに日本はどう対応すべきかを展望する。
助川成也(国士舘大学)

(※お詫びと訂正 本記事の80ページ冒頭の見出しに誤植がありました。
以下のように訂正し、読者の皆様と筆者にお詫び申し上げます。)
誤:「日本は柔軟性をもってRSEPを進めよ」→正「日本は柔軟性をもってRCEPを進めよ」

ASEANが抱える人権と民主主義の隘路
ASEAN共同体が発足する中で、人権と民主主義はどう受容されているか。
ASEAN憲章、ASEAN政府間人権委員会、ASEAN人権宣言を読み解き、
その理念と実際の人権、民主主義の状況とを考える。
五十嵐誠一(千葉大学)

トレンド2017

「ポスト習は習」中国共産党大会の焦点
中国トップ就任から五年で、習近平総書記は「一強」の地位を盤石なものにできるか。
その成就のほどが焦点の中国共産党党大会。カギを握る指導部人事レースを分析し、
長期政権を狙う「異色の指導者」の次の一歩を占う。
五十嵐文(読売新聞)

サイバーセキュリティ向上の鍵はクリアランス制度
世界的な安全保障問題として浮上するサイバー攻撃。IoT・IIoT時代の今、その対策は急務だ。
サイバーセキュリティに関するインテリジェンス情報の国際的共有をどうするか。
情報交換の信頼性を担保するセキュリティ・クリアランス制度を中心に考える。
井形 彬(多摩大学ルール形成戦略研究所)

◎FOCUS 外交記録をめぐる冒険-読む、使う、発信する

座談会 歴史感覚なくして外交感覚なし-外交記録の戦略的活用に向けて
近代日本の外交記録を所蔵する外交史料館。その記録は人々に読まれ、使われて、初めて意味を持つ。
史料を読む楽しみ、使いこなすためのアイディアを探る。
波多野澄雄(アジア歴史資料センター長)
福田 円(法政大学)
細谷雄一(慶應義塾大学)
福嶌香代子(外務省外交史料館長)

外交記録公開はどのように進んだか-体験的外交史研究から見る
官庁の情報公開としては先を行く外交文書の公開。
情報公開の進展とその意義を、外交史研究家が自らの研究に重ねて具体的に検証しつつ、
最近の公文書管理法や国立公文書館新館建設計画が、外交文書公開に与える影響を考える。
白鳥潤一郎(立教大学)

外交史料館・日本外交の足跡をアーカイブする
外交文書の収集・保存のみならず、『日本外交文書』編纂に力を注ぐ外交史料館。
「歴史の遺訓を伝える」成り立ちと広範なアーカイブの現状を紹介する。史料から存分に価値を引き出すためのヒントも。
浜井和史(帝京大学)

世界の外交史料を渉猟して
潘亮(筑波大学)

連載企画

数字が語る世界経済
伊藤さゆり(ニッセイ基礎研究所)

Around the world
アジアの主導権狙う中印対立の新たな構図
竹内幸史(ジャーナリスト)

民主化後最大の転機を迎える南アフリカ
白戸圭一(三井物産研究所)

米ロ制裁合戦エスカレーションのゆくえ
駒木明義(朝日新聞)

外交最前線
原田優(外務省)

Bool Review
「リベラルな共和主義」は可能か
梶谷懐(神戸大学)

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Information/外務省だより