巻頭インタビュー English
「平昌から東京へ勝負を超えた感動を伝える」
山下泰裕(日本オリンピック委員会常務理事)
特集◎東アジア国際秩序の地殻変動
座談会
急展開の北朝鮮情勢米朝対話「成功」へのハードル
日本時間の三月九日早朝、突然飛び込んできた米朝首脳会談のニュース。非核化に向かう一里塚としたいが、現実にはさまざまな懸念もある。新局面を迎えた東アジアの国際政治を読み解く。
松田康博(東京大学)
道下徳成(政策研究大学院大学)
金杉憲治(外務省アジア大洋州局)
破壊から建設へ―真価問われる第二期習体制
権力基盤強化に突き進んできた習近平。一方で急激な改革による危うさも垣間見える。習近平政権の今後の課題とは何か。四つの視点から浮き彫りにする。
小嶋華津子(慶應義塾大学)
中国国家機関の新指導者たち
李昊(東京大学大学院)
「非核化」というチーム・パシュート―「日米韓」でワンボイスを上げよ
南北・米朝首脳会談の合意に持ち込んだ韓国の「五輪外交」は、朝鮮半島平和への第一歩か、それとも国際的制裁網の「切り崩し」なのか。非核化はあらゆるリスクを想定しながら、「チーム」として追求すべきだ。
浅羽祐樹(新潟県立大学)
南進する中国に向き合う東南アジア
存在感を強める中国の積極的な海洋進出には実は三〇年の歴史があった。ASEANはどう対抗し、どう対話したか。その歴史と、近年の中国「三つのアプローチ」から今後の東南アジアの「連帯」を分析する。
山影 進(早稲田大学)
アジアの海洋秩序をいかに維持・構築するか―海における「法の支配」をめぐって
海の秩序を支える国際海洋法。だが、各国間には解釈の違いや執行する意思と能力の違いもある。アジアの海の問題状況をふまえ、海の秩序の維持と構築の方策を考える。
鶴田 順(明治学院大学)
トレンド2018
米国国務長官交代のインパクト
解任が発表されたティラソン国務長官。しばしば不仲の噂が流れた彼とトランプ大統領の関係、そしてポンペオ新長官任命の背景とは。一連の国務長官交代劇から政権内の人間関係と今後のトランプ外交を読み解く。
小谷哲男(明海大学)
トランプ「ディール第一主義」とFRB新体制——台頭する保護主義政策のゆくえは
政権発足以来、比較的穏当な政策が続いたが、鉄鋼・アルミ関税引き上げ政策は保護主義色が強化される契機となるのか。「良いトランプ」「悪いトランプ」に象徴される政権内人事抗争と新FRBの陣容から読み解く。
清水憲司(毎日新聞)
大連立継続でドイツ政治は安定するか
昨年九月の総選挙から半年の政治空白を経て、メルケル第四次大連立政権がスタートした。社会構造が変化し「右傾化」する中で、政党間の政治力学はどのように変わり、メルケル首相の政権運営はどうなるか。
三好範英(読売新聞)
新駐米大使インタビュー
日米が担う新たな戦略空間
外務審議官・外務次官として安倍外交を中軸で支えた杉山氏が、駐米大使に就任する。北朝鮮問題という眼前の課題はもちろん、東アジアの国際秩序が流動化するなか、日米同盟をいかに強化していくか、抱負を語る。
杉山晋輔(駐米大使)
「トラック1・5」外交を担うシンクタンク―日本国際問題研究所の挑戦
毎年米国で発表される、世界のシンクタンク・ランキングで、世界一四位、アジアで一位を獲得した日本国際問題研究所。シンクタンクが日本外交に果たす役割と今後の展望を理事長に聞く。
野上義二(日本国際問題研究所)
日仏修好通商条約一六〇周年 巴里の空の下始まった「特別な関係」
日仏修好通商条約の原本はフランス古文書館に保存されている。その美しい筆跡から見える「覚悟」とは。遣欧使節団の福沢諭吉は何を見たのか。ジャポニズム前夜の日仏関係の源流をさぐる。
山口昌子(ジャーナリスト)
FOCUS◎中東問題再考
行き詰まったパレスチナ問題——現実味を失った二国家解決案
「エルサレムへの米国大使館移転」方針は中東和平アプローチの「逆行」と批判されている。「二国家解決案」は破綻したが、一方パレスチナでは大きな抵抗運動が見られない。今の対立状況や歴史観から、中東和平の混迷をみる。
立山良司(防衛大学校)
イラン外交の理念と戦略-「脅威論」の背景を読む
イラン外交には、イスラム革命の経緯から生まれた理念と、「対テロ戦争」後の現実に対応した戦略がある。米国やアラブ諸国が叫ぶ「脅威論」との認識ギャップを、歴史的背景を踏まえて分析する。
坂梨 祥(日本エネルギー経済研究所)
テヘラン 変化の向かう先
厳しい戒律が後退し、若者を中心としてイラン社会は自由を求めて変わり続ける。反政府デモが頻発するも現体制への支持は高い。冷静なイラン国民は「アラブの春」を横目に、何をよりどころにまとまっていくのか。
薮 英季(NHK)
ISIS後のイラク 平和構築とその課題
ポストISISのイラクに何が必要なのか。平和構築の専門家である筆者はイラクを訪問、マーリキー副大統領ら三人の副大統領らと対話した。宗教対立を克服する国民和解がイラクの政情安定には不可欠だ。
東 大作(上智大学)
「ジハード主義」とIS後の世界
IS制圧後、世界のテロは収束に向かうのか。「ジハード主義」を歴史的経緯から分析すると、人々の不満に巣食う普遍性があり、拡散しやすい性質があることがわかる。封じ込めのために世界と日本がなすべきことは。
保坂修司(日本エネルギー経済研究所)
第6回外交論文コンテスト
最優秀賞
防災を通じた気候変動への適応に関する日本の外交戦略
地球温暖化など気候変動への対応は待ったなし。そのアプローチを「緩和策」「適応策」に分け、日本が蓄積してきた防災のノウハウが援助にも、ビジネスにも生かせると論ずる。
柳津聡
連載
数字が語る世界経済
伊藤信悟(国際経済研究所)
アラウンド・ザ・ワールド
イタリア総選挙混迷深まる三勢力鼎立
伊藤 武(東京大学)
エチオピアの政治危機とそのゆくえ―与党指導部は世代交代を決断できるか
西 真如(京都大学)
ブックレビュー
板橋拓己(成蹊大学)
新刊案内
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