Vol.52, Nov. / Dec. 2018

Vol.52_Hyoushi_000001巻頭インタビュー                                  English
いまこそ「外交」復権のとき
明石康(国際文化会館理事長)

特集◎インド太平洋の政治力学
 
日本外交における「自由で開かれたインド太平洋」
国際政治の次なる戦略拠点、インド太平洋地域。ここで新たな地域概念を模索し続けてきた日本の「自由で開かれたインド太平洋戦略」とインド、ASEAN諸国、中国、米国などとの関係は。各国の外交戦略を紐解き、新たな国際秩序を展望する。
中西寛(京都大学)

    
インド太平洋の「成功物語」を積み重ねよ-カギとなるのは連結性の強化
「自由で開かれたインド太平洋」の実現とは、日本が東南アジアで積み重ねてきたサクセス・ストーリーとそれを支える理念を、
この地域に広げることだカギとなる地域間の連結性強化を軸に、外務省南部アジア部長が語る。
滝崎成樹(外務省)

日中関係「改善」への問い
日中関係の「改善」は、マイナスからゼロへの回帰にすぎない。しかも「ゼロ地点」がどこかで、日中の認識は大きく異なる。目玉とされた「第三国協力」における「安倍四条件」の意味。「一つの中国」をめぐる日中間の微妙な差異などの重要論点を、二国間外交のみならず国際秩序形成の視点から読み解く。
川島真(東京大学)

モディ政権の「戦略的自律性」を読む-対中国と日印協力の今後
メイク・イン・インディア政策を進めながらも、中国投資の受け入れをめぐりモディ政権は揺れた。
「非同盟」とは異なる独自の論理を貫くインド外交はどの方向へ向かうのか。日本の戦略的役割を併せて考える。
伊藤融(防衛大学校)

インド太平洋は誰のものかASEANの期待と不安
「インド太平洋」とは、どんな地域概念か。それは「中国を牽制する」ことを意味しているのか。
インド太平洋をめぐる多様な言説を整理すると、「誰のためのインド太平洋か」というテーマが浮かび上がってくる。
大庭三枝(東京理科大学)

 
◎TREND2018

極限化する政治的分断-中間選挙で浮かび上がったアメリカの政治的基層
分極化が極限に達するなかで行われた11月のアメリカ中間選挙。大統領選挙に匹敵する関心を集めた選挙結果を総括し、2年後の大統領選挙を展望する。
中山俊宏(慶應義塾大学)

トランプ政権対中強硬政策の基盤
大統領の「口撃」が政策に直結するかのような「米中貿易戦争」。筋書きは書かれているが、ストーリーの結末は誰にもわからない。自由貿易体制を享受してきた過去をもとに、未来をいかにするか。日本の生き方が問われる。
青山直篤(朝日新聞)

日米貿易摩擦「三年目の正直」か-蜜月から神経戦へ 自由貿易の岐路
貿易交渉への強い要求が矢継ぎ早。トランプ政権発足以来の蜜月関係は、ついに終わりを告げるのか。「攻め手」であるトランプ政権スタッフの「戦術」とは、そして「守り手」である安倍政権の戦略とは。管理貿易時代に逆戻りするかどうかの正念場だ。
菅野幹雄(日本経済新聞)

慎重さ消えた文在寅政権の対外政策-米国との対北連携に見えてきた不安
政権公約の南北関係進展は実現したが、日米との関係が微妙になってきた韓国。日米韓の連携を失いかねない文政権の舵取りは、北東アジア情勢にどんな波紋を投げかけるか
澤田克己(毎日新聞)

米国INF全廃条約離脱のインパクト
冷戦構造終結の象徴ともなってきたINF条約。トランプ政権はなぜ離脱を決めたのか。核兵器を具体的に配備する予定のない離脱は、多分に国内、ロシア、中国を意識したものだ。この状況の下で核軍縮を担保する手段はあるのか。
石川卓(防衛大学校)

動き始めた「解放後」の南部アフリカ政治
南アフリカやジンバブエで新大統領が生まれるなど、南部アフリカの政治は変容しつつある。民族解放を主導した英雄たちの時代が過ぎ去り、新たな正当性を模索する各国の試練を読み解く。
峯陽一(同志社大学)

ブラジル社会の「怒り」と大統領選挙-右派系の新大統領ボルソナーロ誕生の背景
強権的な言動を続け自国第一主義を掲げる指導者がブラジルにも誕生した。有権者の投票行動を子細に分析すると、その土壌はやはり政治腐敗と社会の分断にある。ボルソナーロ新政権のかじ取りはどうなる。
子安昭子(上智大学)

「漂流する」海洋プラスチック問題
生態系への影響が注目を集める海洋プラスチック問題。対策にあたっては、過去の環境問題対策枠組みを参照し、規制をどこまで及ぼすかの射程が重要になる。
小島道一(東アジア・ASEAN経済研究センター)
岩崎総則(東アジア・ASEAN経済研究センター)

日・ロ・国連の連携で取り組むアフガニスタンの麻薬問題
アヘン生産量の急増が指摘されるアフガニスタン。麻薬の生産と違法な売買の取り締まりが重要課題の一つだ。日本は麻薬捜査官の育成など、国際社会との連携を通して貢献している。
保坂英輝(国連薬物・犯罪事務所)

 
FOCUS◎待ったなしの気候変動対策

対談
拡大するグリーン・ビジネス市場を主導せよ-気候変動への長期戦略が企業の行動を変える

パリ協定の締結・発効によって、脱炭素社会に向けた新しいビジネス機会が拡大中。各国・各企業の競争はもう始まっている。
日本はどの戦略で臨むか。
高村ゆかり(東京大学)
鈴木秀生 (外務省)

資料:気候変動Q&A

国際政治に重要性を増す「気候変動」の射程-歴史の軸から分析する
気候変動の進行により、自然災害、農業や漁業での収量変化、熱中症や伝染病などさまざまな影響が顕在化している。
パリ協定への各国の対応を俯瞰すると、温暖化対策への流れはさらに加速する。
亀山康子(国立環境研究所)

脱炭素社会実現に向けたビジネス戦略
馬車を製造していた会社が自動車会社になれたわけではない―。CO2排出をめぐる国際ルールが大きく変わるいま、ビジネスはこれまでの延長ではなく、新たな飛躍が求められる。新たな「機会」をめぐる競争に、日本企業は立ち向かえるか。
川上敏弘(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)

非政府主体こそがパリ協定を力強く推進する
トランプ政権はパリ協定に背を向けるが、国や自治体・ビジネスセクターに至るまで世界的なパリ協定への賛同が続き、アメリカ三州の参加でCOPに貢献という地殻変動も起きつつある。いま、日本は世界的イニシアティブをとる好機だ。
ピート・オグデン(国連基金エネルギー・気候・環境担当副総裁)

気候変動問題に行動する日本の自治体
地球環境問題の主要プレーヤーの中には自治体も多い。イクレイは、持続可能な社会の実現を目指す世界の自治体による連合会で、日本からも二一の自治体が加盟する。自治体が環境問題に果たす役割とは。
浜中裕徳(イクレイ日本)

連載

数字が語る世界経済
伊藤信悟(国際経済研究所)

ゴルゴ13が教える海外安全対策 4

◎アラウンド・ザ・ワールド◎

予想外だったモルディブの政権交代
荒井悦代(アジア経済研究所)

70周年を迎える世界人権宣言と日本
横田洋三(人権教育啓発推進センター)

キャリアの話を聞こう
逆境は優れたリーダーをつくる-社会経済的困難を経験した若者のための人材育成
坪内南(教育支援グローバル基金)

外交最前線8
社交の使命―ワシントンにおける人脈と外交
ビューカー清美(在米日本大使館)

ブックレビュー
若月秀和(北海学園大学)

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