64号刊行時期のお知らせ
平素は『外交』をご愛読いただきまして、誠にありがとうございます。
最新号64号は、アメリカ大統領選挙に対応した体制を組みました関係で、書店発売日がやや遅れます。
東京とその近郊では4日(金)ごろ、それ以外の地域では5日(土)以降の発売となります。
ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
11月30日 『外交』編集部
巻頭インタビュー
日本復活の礎となった日米同盟再強化
安倍晋三(前内閣総理大臣)
特別企画◎菅新内閣の外交課題
米中対立下の「自由で開かれたインド太平洋」-戦略的競争と経済協力の共存へ
安倍政権の継承をかかげて発足した菅内閣。日米基軸は不変でも、構造化する米中対立を背景に、日本を取り巻く外交・安全保障環境は厳しさを増している。菅内閣が直面する外交課題を総ざらいし、歩むべき道を展望する。
鼎談
◎高原明生(東京大学)◎中西寛(京都大学)◎吉岡桂子(朝日新聞)
問われる日本外交の構想力-インド太平洋の将来を見据えて
2010年代に日米関係は大いに深化した。しかし国際情勢が激動するいま、より安定し効果的な日米同盟に発展させるには、過去の延長線上ではなく、時代に即した柔軟な発想が求められる-。バイデン政権誕生を目前に控え、北米局長が語る。
市川恵一(外務省)
地域・イシュー別に読み解く外交課題
最悪の日韓関係、打つ手はなにか
徴用工判決に基づき日本企業の資産現金化を進めようとしながら、その補填を模索する韓国政府。原則論で譲れない日本との距離は、依然として遠い。日韓協力の意味から捉え直す思考が、両国に求められる。
牧野愛博(朝日新聞)
北方領土交渉が進展する条件とは
2018年のプーチン大統領「平和条約締結を」発言から安倍政権が受け取ったメッセージにはズレがあった。ロシア改正憲法に領土割譲禁止が盛り込まれた今、長期的観点に立ったロシアへの関与政策が求められる。
畔蒜泰助(笹川平和財団)
安全保障政策の根幹に必要な分析、総合、説明
日本では策源地攻撃能力の整備が論じられているが、安全保障環境の急激な変化を受けて脅威とその対象を総合的に捉え直して対応し、かつ説明もできるコミュニケーション能力が必要である。
石川 卓(防衛大学校)
求められる自由貿易体制の再構築
米中対立の激化やコロナ禍の困難のもと、自由貿易の旗をいかに掲げ続けるか。WTO改革の進展、TPPの拡充とともに、デジタル貿易ルールの整備がポイントとなる。
菅原淳一(みずほ総合研究所)
コロナ禍の下での国際協力は
コロナ禍で、創設75年総会が規模縮小となった国連総会。一国至上主義が幅をきかせ、「連合」がないがしろにされたことからの多国間主義の復活が、喫緊の課題だ。国連での菅首相の演説に、日本の新たな存在感を示す貢献の可能性を見る。
星野俊也(大阪大学)
特集◎アメリカの選択-希望と混迷
アメリカの選択-2020年アメリカ大統領選挙考
「トランプ主義」をめぐる戦いとなった米大統領選。再選こそ阻まれたものの、「トランプ的なるもの」はアメリカの拒絶されたわけではない。分断を招いた狂騒の「トランプ時代」の向こうにバイデンが掲げる「統合」の兆しは見えるか。
中山俊宏(慶應義塾大学)
バイデン人事のキーパーソンたち
ワシントンは「人事の季節」に入った。主要ポストをめぐる動向を整理し、新体制の輪郭を考察する。キーワードは「多様性」だ。
足立正彦(住友商事グローバルリサーチ)
対談
バイデン新政権対中政策の振れ幅
独特のスタイルで「アメリカ第一」の外交を進めたトランプ大統領。バイデン政権では、何が変わり、何が引き継がれるか。
辰巳由紀(米スティムソン・センター)
佐橋亮(東京大学)
静かに安堵し、解放を喜ぶ人々
「BYE DON」(さよならトランプ) それは過酷なコロナ禍に苦しみ、多様性や人種の価値に脅威を感じてきたニューヨーカーの心の叫びだった。
彦谷貴子(コロンビア大学)
トランプを選ばなかったアメリカ
もつれた開票の経過は、都市と地方の格差を浮き彫りにした。「サンベルト」と呼ばれる南部諸州は国際主義に対応、グローバル・バリューチェーンにより雇用を増大させている。新たなアメリカの「統合」はここから始められるだろう。
武内宏樹(サザンメソジスト大学)
両党「敗北」が迫る新たな自画像
進歩派と中道派の間で対立を抱える民主党。「トランプ主義」への反発が広がる共和党。民主・共和両党は今後いかなる進路をとるのか、新政権と議会は協働できるのか。
ロバート・トムキン(コングレッショナル・クォータリー)
ギンズバーグ判事死去と連邦最高裁の今後
連邦最高裁判事の「保守」「リベラル」は政治スタンスのみならず、条文解釈に対しての態度であることに注意が必要だ。新連邦最高裁判事・バレット氏は憲法を起草当時の意味で解釈すべきとする原意主義者だ。バレット就任で司法判断の方向性はどうなる。
横大道 聡(慶應義塾大学)
バイデン新政権 世界はどう見る
台湾
蔡英文政権からにじむ米台関係への自信と不安
トランプ政権と蜜月関係にあった蔡英文政権。米中対立が構造化するなか、米国の台湾重視は簡単に変わらない-。蔡政権はそう分析する一方、その内実が大統領のわずかなさじ加減で大きく変わり得ることも理解している。バイデン政権と新たな信頼関係をつくり出せるか。
石田耕一郎(朝日新聞)
中東
対イラン政策転換に危機感強めるイスラエル
トランプ大統領と盟友関係にあったネタニヤフ首相。オバマ政権とは関係が疎遠だっただけに、バイデン政権への警戒感は強い。最大の焦点は米国のイラン核合意への復帰だが、イラン包囲網で利害が一致した湾岸諸国との関係やパレスチナの位置づけなど、悩みは尽きない。
久下和宏(共同通信)
欧州
「米欧同盟」復活も独仏のズレ浮き彫り
国際協調主義者バイデン氏の当選で、良好な同盟関係が戻る-。そのような楽観論は、欧州の現実の前には力を失う。トランプ政権の4年間で生じた欧州の自立をめぐる独仏間の温度差。中国の脅威に対する米欧間の認識ギャップは、「大西洋同盟」の不安要素となっている。
三井美奈(産経新聞)
トレンド2020
コロナ感染再拡大 再び緊急事態下のフランス
10月28日、今春に続き、2度目の会出禁止令が発令されたフランス。コロナとの「戦争」に打ち克つためにフランス社会の戸惑いや苦悩を、在仏30年のジャーナリストが伝える。
山口昌子(ジャーナリスト)
ナゴルノ・カラバフ紛争 再燃の構図-変わらぬ問題性、様変わりの戦争
9月27日、アゼルバイジャン共和国の南西部ナゴルノ・カラバフで、約30年ぶりに紛争が勃発した。ロシア・米国の仲介で「人道的停戦」が発効したが破綻。5000人ともいわれる民間人を含む多くの死傷者が出る中、11月9日、完全な停戦が発効した。紛争の構図と歴史をたどる。
廣瀬陽子(慶應義塾大学)
習近平政権「内向的グローバルパワー」への道(上)-「19期五中全会」で既定路線が固められる
注目の19期五中全会は、中・長期計画を掲げ、具体的な政策を決定する手堅いものに。決議の「言葉」を分析し、人事を確認することで、習近平体制の「強さ」と「密度」をみる。今号・次号にわたってお伝えする。
鈴木 隆(愛知県立大学)
岐路に立つ「タイ式民主主義」-怒れる若者たちが突き付けたもの
敬われるべき、侵すことのできない」存在として君臨するタイ国王に対し、学生たちは単純な王権縮小にとどまらず、真の立憲民主主義の実現を求める。混乱のなか、タイ国王が前面に出る場面も見られるが、将来を担う若者たちとの対話は実現可能だろうか。
藤下 超(NHK)
アフガニスタン 和平の扉は開くか
週十年にわたり紛争が続くアフガニスタンで、和平をめぐる政府とタリバンとの直接対話が始まった。国連の立場からアフガニスタンの復興と和平に関わってきた山本氏が、今後の厳しい道のりを展望する。
山本忠通(前国連事務総長特別代表)
国際緊急援助隊 油の防除に取り組む
今年7月、貨物船がモーリシャス沖で座礁、燃料油が流出したニュースは、日本企業が運航していた船舶ということもあり、国内でも衝撃をもって受け止められた。流出する油を取り除くために、日本は何ができるか。国際緊急援助隊としていち早く現地に赴いた二人の専門家に聞く。
武智敬司(海上保安庁)
永田誠一郎(海上保安庁)
特別寄稿
追悼 台湾政治史の中の李登輝総統(上)-1988年~96年の自由化・民主化改革
薛化元(台湾・国立政治大学)
追悼 台湾政治史の中の李登輝総統(下)-1988年~96年の自由化・民主化改革
台湾に自由と民主主義をもたらした政治の巨人を通して見る現代史。連載(上)は蒋経国時代末期から、第8期総裁に就任し、動員戡乱時期を終結させるまでを振り返った。連載(下)は言論や教育の自由化、および総統民選に向けた憲法改正プロセスを成功させた上で、動員戡乱終結の論理的帰結としても、また実感としても中国との新たな関係の設定-「二国論」に向き合うことになった台湾の姿を描く。
薛化元(台湾・国立政治大学)
連載
数字が語る世界経済27
伊藤信悟(国際経済研究所)
外交最前線16
グアテマラ初の超小型衛星をサポート-きぼうキューブがつなぐ宇宙の懸け橋
岩城陽大(在ウィーン国際機関日本政府代表部)
ブックレビュー
小川浩之(東京大学)
いまを読む5冊
評者:
江藤名保子(アジア経済研究所)
島田 剛 (明治大学)
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