特集◎東日本大震災
国際協力と日米同盟
「危機の同盟」からさらなる深化へ
パトリック・M・クローニン(新米国安全保障センター上級顧問)
ダニエル・M・クリマン(ジャーマン・マーシャル・ファンド・アジア担当フェロー)
日本が未曽有の危機に直面するなか、日米同盟もまたその意義と可能性を問われている。
新たな局面に対応するために、いま日米双方に何が求められているのか
中国人記者取材 情報に振り回された一週間
陳琳(香港フェニックステレビ記者)
助け合い、パニック、政治不信。
華人ネットワーク最大のマスメディアの眼に映った日本の「震災後」の姿。
〈メッセージ〉複合危機を乗り越えるための「覚悟」
J・トーマス・シーファー(前駐日米国大使)
震災後のアメリカの支援は深い友情を感じさせた。
しかしこれが続くためには、互いの厳しい財政状況をしなければならない。
〈メッセージ〉「キアカハ(一緒に頑張ろう)」の精神でともに歩む
イアン・ケネディ(駐日ニュージーランド大使)
宮城県南三陸町での捜索・救助活動を行なったニュージーランド救助隊。
ミッチェル・ブラウン副隊長が「ニュージーランド地震の時には日本に助けてもらった。
われわれも生存者の救出や捜索活動に励みたい」と述べたように、
ニュージーランドでも2月22日、同国第2の都市クライストチャーチ近郊で大規模地震が発生し、
日本人28名を含めた多くの命が失われた。
震災の苦しさがわかるからこそ、日本に送る、大使からのエール。
対談◎ネットワーク型社会の真価が問われている
大西健丞(ピースウィンズ・ジャパン代表理事)
四方敬之(内閣副広報官)
いち早く被災地に入り、現地のニーズを把握しながら支援を続ける大西氏。
世界のメディアに日本の現状と政府のメッセージを伝える四方氏。
二人の「現場」から見えてくる震災後の日本の課題と展望とは。
資料 日本で活動した緊急援助チーム一覧
日本の国際緊急援助隊30年を振り返る
柳沢香枝(国際協力機構・国際緊急援助隊事務局)
被災してわかる国際緊急援助のありがたみ。
日本も1980年代から積極的に展開している国際緊急援助隊だが、
発足当初は多くの混乱があった。その進化の歴史をひもとく。
イスラエル医療支援チーム受け入れの舞台裏
佐藤 勇(宮城県栗原市長)
震災で壊滅的な打撃を受けた南三陸町に、イスラエルの医療支援チームが入った。
受け入れに奔走したのは、隣接する栗原氏の佐藤市長。
初めての海外からの医療支援に、さまざまな壁が立ちはだかる。
それを乗り越えた市長の決断とは。
世界はフクシマをどうみているか
久野祐輔(東京大学大学院工学系研究科教授)
いまは収束のシナリオが見えない福島第一原発事故。
新興国のエネルギー需要と地球温暖化対策を両立させる「切り札」の暴走が、
世界に与えた影響をレポートする。
激動の中東情勢を読み解く
ドミノ革命は「新しい中東」を生み出すか
立山良司(防衛大学校教授)
今年一月、チュニジアの街路から始まった北アフリカ・中東の「政治の季節」。
そこには、かつての伝統的なアラブ・ナショナリズムの運動とは異なる、
若者たちのしたたかでしなやかな戦略があった。
資料コラム 中東・北アフリカ反政府運動の諸相
長谷川健司(共同通信外信部次長)
複雑に絡み合う各国の民主化・反政府運動を振り返り、今後を展望する。
座談会◎イスラーム化する社会と民主政治
出川展恒(NHK解説委員 中東イスラム地域)
保坂修司(日本エネルギー経済研究所研究理事 ペルシャ湾岸地域近代史)
澤江史子(東北大学准教授 トルコ政治)
見市 建(岩手県立大学准教授 インドネシア政治)
「まつり」の後に待ち受ける困難な現実。
しかし民主化のプロセスには、トルコやインドネシアなどの「先輩」がいる。
社会のイスラーム化が、必ずしも政治のイスラーム化をもたらすわけではない。
中国共産党はなぜ「茉莉花」を恐れたのか
城山英巳(時事通信外信部記者)
中東の民主化にもっとも敏感に反応した国は中国であろう。
今回の騒動は、「官」と「民」がせめぎあう微妙なバランスを崩し、
中国の民主化を、むしろ後退させてしまった。
スーダン南部独立が生む新たな火種
遠藤貢(東京大学大学院総合文化研究科教授)
民主的な投票を経て、今夏新たな国家が産声をあげる。しかし、その前途は平坦ではない。それどころか、武装闘争を通して当事者に成り上がる手法が、ダルフールやソマリアに広がる懸念さえ出てきた。
連載
巻頭随筆
専門家の知の限界に社会はどう向き合うか
小林 傳司(大阪大学教授)
「ロイヤル・ウェディング」に見る王室外交の伝統
君塚直隆(関東学院大学教授)
Cartoon says it all. マンガを見れば世界がわかる
西川恵(毎日新聞専門編集委員)
マーケットの眼●数量化できない「現場力」の不思議
伊藤洋一 (住信基礎研究所主席研究員)
震災後も円高が続く不思議。いったい日本の何が評価されているのか。
海風陸風●革命のさなか、邦人保護のリーダーシップ
奥田紀宏(駐エジプト大使)
資料が語る日本外交●日中国交正常化
「竹入メモ」日中国交正常化を進めた公明党委員長の独断専行
井上正也(香川大学法学部准教授)
中国側の誤解と、竹入の独断―二つの偶然が重なって歴史はうなりを上げて動き始めた。
二十歳の助走●探検部の仲間と見たアフリカの「困難を生き抜く力」
白戸圭一(毎日新聞北米総局記者)
世界を舞台に活躍する人たちは、「若き日」に何を学び、何に挑戦したのか。
学生訪問記●国際交流の草分けが語る、「カタリスト」の醍醐味
山本正(日本国際協力センター理事長)
上智大学 大橋勇太、藤木彩也佳、藤田美夏海、廣瀬亜美、若原宏和
政府から個人レベルまで「国際交流」があふれている現在。
しかし、いまから40年前、それほど一般的でなかったこの言葉を堂々と組織名に冠し、
日本国際交流センター(JCIE)は誕生した。
創設者であり、いまも理事長として組織をリードしている山本氏の思いとは。
コトバの深層●抑止力
石川卓(防衛大学校教授)
普天間基地の移設問題でメディアを賑わせた「抑止力」。
総理大臣でさえ混乱してしまうその内実は、冷戦終焉を機に大きな変化を見せていた。
ブックレビュー
星野俊也(大阪大学大学院教授)
池内恵(東京大学准教授)
歴史と対話 政党政治の作法
村井良太(駒澤大学准教授)
毎年変わる総理大臣。権力争いに明け暮れる政党。いまや国民から愛想を尽かされたようにさえ見える。
しかし、戦前にこれを手放したことで、日本は漂流を始めた。
私たちは、その経験から何を学ぶべきなのか。